Beth Terry “Plastic-Free” 読了

 

Plastic-Free: How I Kicked the Plastic Habit and How You Can Too

Plastic-Free: How I Kicked the Plastic Habit and How You Can Too

 

 2016年1月11日

 

オークランド州に住む著者は、海洋に流れ出たプラスチックごみでおなかをいっぱいにして餓死したアホウドリの雛の写真にショックを受け、プラスチック製品を生活から排除することを決意。脱プラスチックの過程と、実践するためのガイド。各分野に特化した達人の紹介。

簡潔でユーモアのある文章で、とても楽しく読め、かつ本当に勉強になりました。

 

Beth Terry  "Plastic-Free" 

 

著者の基本的な問題意識は次の点にあります。(ものすごく大雑把な要約になりますが。)

すなわち、第一に、プラスチックは自然に分解しない。リサイクルできるのだから、何ら問題ないのでは?と思っている人が多いが、リサイクルマークがついているにしても、実際にリサイクルされるかどうかは、自治体がそのための施設を持っているか、その施設にリサイクル能力があるかによる。また「リサイクル」とはいっても、再び同じレベルの製品になるわけではなく、それは「ダウンサイクル」(ランク下の物質となり、最終的には埋め立て地へ…)であるということ。この現実。ならばどうするか。これ以上新たにプラスチックを入手しないことに尽きる。

第二に、プラスチックには人体に有害な物質が含まれている。リサイクル段階で労働者の健康を損なうし、家庭でのカトラリー・食器・調理器具の使用によっても人体に取り込まれてしまう。

これらの問題点を踏まえ、主に家庭から排出されるプラスチックごみおよび家庭でのプラスチック使用を減らすために、どういった代替品・代替案が考えられるか、またどういった取り組みができるかが事細かく具体的に紹介されています。

 

プラスチック製品をやめる、と言うとそう難しく聞こえないかもしれないですが、実際のところ、物品そのものがプラスチック、という場合だけでなく、パッケージで使われているプラスチックも対象ですからね。スーパーで買い物しようと思ったらほとんどのものは(生鮮野菜ですら!)プラスチックの袋に入ってますからね!生活そのものを転換しないとはっきり言って無理です。Bea Johnsonの本を読んだ時にも同じようなことが書いてありましたが、著者曰く、本に書いてあることは著者が数年かけて変えてきたことなので、一気に同じことをしようとするのは無理、まずはできそうなところから少しずつ取り組みましょう、と。確かに、現段階で著者の提案していることを全てしなければならないとしたら絶望してしまいそうです。

というわけで、少しずつ脱プラスチックしていくためにまずできることとして、以下が紹介されています。

・一回限りの使い捨てになるプラスチックを買わない。もらわない。

(スーパーのレジ袋、宅配ピザのプラスチックカトラリー、ファストフード店の紙コップなど(水がしみない紙はプラスティックコーティングされている))

・個包装のものを買わない。(購入したい内容物に対しての、包装の占める割合をできるだけ下げる。)

これに加えて

・非常に限られた一つの用途にしか使えないもの(例えば、バナナの形をしたバナナケース、など)を持たない。

だ、そうです。

 

少し話がずれてしまうのですが。

最近の流行りとして、物を処分して身軽になることがいたるところで推奨されており、捨てることは良いこと、罪悪感を持っても仕方がないからどんどん捨てちゃいなよ!という雰囲気になっているように感じます。確かに、失敗した物を後生大事に抱え込んでいる必要はないと思いますが、「捨ててすっきり」の側面を強調するなら、まずは捨てることになるような物を入手しない」ことも併記しないといけないんじゃないの、と思うことしばしば。といっても、使う本人や生活自体が日々変わっていくわけで、今まで必要だったものが不要になるというのはよくある、仕方がないことでもあり…。そうすると、不要になったときに売ったり譲ったりできない即ゴミになりそうなものはできる限り避ける配慮をする、という程度の対応策しかなさそうですが。

物は手放しても消えてなくなるわけではないので、自分の目に入る範囲から消えたその後の、その物自体の本当の終わりまでもきちんと責任を持てるかどうかを、取得する際にまず徹底的に検討することが必要だとこの本を読んで改めて強く感じました。これ、自分ではなかなかできていない部分なので、今後の課題。